Goods Press Back Number
My Own Toy Box
連載第75回
僕はその昔、お袋に耳を掻いてもらうのが大好きだった。昨日、耳垢を取ってもらったばかりでも、今日も耳を掻いてもらいたかった。耳の中が痒いこともあるのだが、自分で掻いたのではイマイチ気持ち良さが足りないのである。何故だろう。けして、お袋に甘えたかったわけではない。本当に心地好かったのだ。
上京してからは自分で掻くしかなかった。しかし、どうも気持ち良さが足りない。いくら掻いても不満が残るのだ。おかげで、掻き過ぎて血が出たり、リンパ液が出たりもしょっちゅうで、それが固まってまた痒くなる。悪循環であった。丁度、腕などの傷が治りかけたときに、痒くてカサブタを剥がしてしまい、また血が出る。これに似ている。誓って言っておくが、僕はマゾではない。
実は耳掻きが悪いのだと言うことに気が付いたのは、それから10年以上経った後のことである。普通に薬局などで市販されている耳掻きで、本当に良い物を(尤も、これは人によって受ける感触が違うので、一概には言えない)は見当たらない。観光地のお土産品などは、何をか言わん哉だ。
では、どんな耳掻きがベストなのか。実は、僕のお薦めは美容師が使う業務用の製品である。これ以上無いほど繊細にできたシャフトの、弱々しいくらいの弾力が絶妙に耳を掻いて、尚且つ非常によく耳垢が取れる。業務用としてはおそらく1回限りの使い捨てなのかもしれない。しかし、家庭で自分用に使う分には、何度でも繰り返し使用できる。勿論、その耐久性は普通に売られている硬い耳掻きに較べれば弱い。が、頗る快感なのだ。
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